既存不適格擁壁があり，新たに築造できない場合の住宅基礎設計法

摘要

日本の人口は，地方から都心部への流入が継続しており，東京圏においては1年で約14万人程度人口が増加している。したがって，都心部では土地不足が生じ，今まで開発されていなかった斜面地や谷地などにおいても，擁壁を伴った開発が進んでいる。また，古い造成地では，建替えによる既存不適格擁壁への対応が問題となっている。既存不適格擁壁とは，現在の法令に適合していない擁壁および擁壁自体の安全性が確認できない擁壁をいうが，検査済証を取得している擁壁であっても，設計·施工の不備や擁壁の損傷状況などから既存不適格擁壁とみなされるケースも少なくない。