『群像としての丹下研究室——戦後日本建築•都市史のメインストリーム』

摘要

丹下健三という、日本と世界の近代建築•都市を実践と理論において牽引してきた建築家に関する本格的な著作であり、野心作にして労作である。彼に関する研究は、重要性に比して意外と少ないのであり、その欠落を埋める重要な著作でもある。建築家モノグラフという範疇に入るが、「研究室」という枠組みをとることで、個人史にはない広がりを見せている。またひとつの理論には還元されない、多面的で相互に関連するテーマ群を設定しており、総合的で有機的という点で、ほとんど類例のない研究となっている。文献資料も丹念に調査されている。