次代へつなぐメディア: 建築展のこれから

摘要

山崎20世紀以降、建築がどのような思想をもってそれ以前の建築を乗り越え、新たな建築をつくってきたのか。その糸口を展覧会というメディアに見いだそうと寺田さんと企画したのが、この連載でした。掲載した14の事例からわかる潮流はどのようなものでしょうか。寺田二つの流れがあると思います。ひとつは、街の中に展開していく建築展。2015年3月号の「ヴェネツィア•ビエンナーレ」や7月号の「水の波紋展」がそれです。今、建築に求められているのは、都市や社会においてそこに住む人との関係性をもたらすことではないでしょうか。街の中に展示物があることが、建築は人々の日常の延長線上にあり、展覧会もそうであるという認識をもたらすと思います。二つ目が、その時代の社会の要請や状況を映し出す建築展です。「近代建築展」（2015年4月号）は、当時のアメリカがモダン•デザインによってヨーロッパの伝統的な建築文化に対抗した。アメリカ建築が何をもって世界をリードしようとしたのかが明瞭で、次世代の建築「インターナショナル•スタイル」を呼び起こしたわけです。