第9回 木造住宅の防火規定は2000年性能規定化で激変

摘要

今号は、既存住宅の「火災時の安全性」にかかわる防火規定の変遷や今後の問題点などを紹介する。既存住宅を調査診断する際に求められる火災時の安全性能は、避難安全対策と延焼防止対策の2つの基準である。避難安全対策とは、「火を出さない」「火災を早く見つける」「火を消す」「逃げる」の4つであり、特に人命を守ることを目的とする。延焼防止対策は、「延焼させない」ことで、家の防火性能を確保し財産を守ることにある。具体的には、住宅用火災警報器が適切に設置できているか、出火率が高いキッチンなどに消火器を設置しているか、2階や寝室からの2方向避難路が確保できているか、延焼の恐れがある部分の防火性能(屋根、壁、開口部)が確保できているかなどを確認し診断を行う。診断自体は、難しい内容ではないが、法令遵守のみを意識していると既存住宅の調査診断では見落としがちになるため注意したい。