滑昇霧と放射霧のエアロゾル水溶性成分と不溶性成分の取り込み機構

摘要

滑昇霧と放射霧の汚染物質の取り込み機構を解明するため秋田八幡平で滑昇霧と大気粒子状物質（PM）を，北秋田市鷹巣盆地で放射霧を採集した．滑昇霧で風向別に解析した結果，西風のときには主に霧生成時に雲凝結核と酸性化成分が霧似取り込まれるが，南風，東風のときには滞留中にもイオン性成分を取り込むことを明らかにした．滑昇霧の内，ヤマセ時の霧は汚染物質の取り込み量は少ないが，滞留中にガス状のアンモニアと海塩を取り込むので，pHは高くなることが分かった．滑昇霧はPM中のCl-loss状態にある海塩を取り込むが，同時にHClも取り込むので，滑昇霧の海塩比はCl-lossからCl-richまでの範囲にわたることが分かった．放射霧は滑昇霧に比べて滞留時間が長いことから，霧生成時に酸性化成分を取り込むが，更に滞留中にガス状のアンモニアを取り込むのでpHは滑昇霧よりも高くなることが分かった．