ランニング着地衝撃を考慮したロングパイル人工芝の緩衝性評価

摘要

近年サッカーやラグビーなど多くのスポーツのフィールドとして天然芝に代わって人工芝が使用されている．人工芝の利点として，維持・管理費が安価であることに加え，天候の影響を受けにくいためフルシーズンの使用が可能であることが挙げられる．その人工芝の中でも，ロングパイル人工芝が天然芝により近いプレー感覚が得られることから広く使用されている．その一方で人工芝は天然芝に比べてサーフェス面が破壊されにくく再現性が高いため，身体の特定の部位に対する繰り返し荷重が発生し，長期間の使用によるケガが懸念されている．さらに，サッカーにおいてボールの転がる速度が天然芝と比べて6 km/h程度遅くなるため，パスの質が変化しているという報告もある．このように，天然芝とは異なったプレースタイルとなることから，プレー感覚には依然課題があるといえる．そのため，ロングパイル人工芝の応答特性等を調査し，緩衝性を正しく評価することが必要であると考えられる．本研究ではロングパイル人工芝に対して実際の運動状況を考慮した多段階・多面積衝撃試験を行い，人工芝の持つ複雑なヒステリシス特性を表現できる指数関数型非線形Voigtモデルによるモデル化を行う．さらにランニング時の着地衝撃を想定した条件でのシミュレーションによって緩衝性を評価する．