振動の持続時間が打撃感覚に及ぼす影響

摘要

野球やゴルフ，テニスなどの用具を用いてボールを打ち返すスポーツにおいて，ボールを打ったときの感覚（打撃感覚）は非常に重要であり，このときに生じる触覚は打動作を調整するための判断材料の1つとなる(Solomon andTurvey, 1988,Gregoryet.al.,1990)．例えば，一番効率よくボールを打ち返すことのできるスイートスポットが触覚から推定可能であることが報告されている(Carello et.al., 1999)．また，固有振動の節で打撃を行うと用具に振動が起こらず，しびれ難いことや，ボールのもつエネルギーが用具に吸収されず打撃効率が良いとされている(Adair, 1996)．スイートスポットは手や腕が感じる不快な振動が最小となる点と言われ(川副，2003)，ボールを打ったときに発生する振動を和らげる振動止めを用いると，スイートスポットが広くなるとも，ボールの当たった場所を知覚し難くなるとも言われる．そのため，用具の振動を調整するにあたっては，ボールを打ったときに生じる振動の知覚特性を知ることが重要といえる．