自己組織化マップを用いた運動情報可視化によるフィードバックトレーニングシステムの開発

摘要

近年，スポーツや医療分野などにおいて，目標とする身体動作を獲得するために，運動の定量化を目的とした様々な計測・解析技術が発展してきた．例えば，現在では比較的安価に入手できる光学式三次元モーションキャプチャシステムや小型慣性センサは，非侵襲かつ簡便に運動中のキネマティクス情報を定量化可能であり，被験者は自身の計測された運動データを客観的に把握することができる．また，床反力などの外力を，歪みゲージなどから数値化することもでき，自身に加わる外的な力の大きさを数値として認識することもできる．運動学・運動力学的な情報とは別に，自分では知覚しにくい生理学的情報，例えば運動中の筋活動電位や脳波などをリアルタイムに数値化できるシステムもある．これらのセンシング技術によって被験者の身体運動を定量的に評価し，目標とする運動データと比較することで，運動のコツともいえる種々のデータとの差異を数値的に明確化できる．そのため，種々のセンサを用いたトレーニングは，パフォーマンス向上に大きく寄与できると期待されており，盛んに研究されている．ただし，運動熟練者の関節位置や関節角速度，あるいは外力や生理学的情報などを定量化できても，それらをトレーニングの指標に用いる際には，特定のデータのみを扱う場合が多い．