高圧·高風量な小型冷却ファンの内部流れについて

摘要

現在，クラウドコンピューティングなどのICT技術の発達に伴い，データセンターが増設されている．サーバーでは半導体の高集積化や基盤の密集化により，その排熱が問題となっている．機器の安定的な動作を保証するため，冷却装置として小型でありながら高圧力·高風量な冷却ファン（高出力冷却ファン）が使用されているが，さらなる高出力化が求められている．また，電子機器はその設置スペースの確保のため小型化しており冷却ファンにもさらなる小型化が求められている．そのため，コンパクト化（同一回転速度条件下）および低回転速度化（同一直径条件下）に有効である二重反転形羽根車が採用されているモデルも実機製品には存在する．二重反転形羽根車を有する高出力冷却ファンは非常に小型であり，スポークなどあらゆる形状的制約が混在するため，その詳細な性能特性および内部流れに関する研究は少ないのが現状である．さらに，本供試フアンは数値解析および実験的に内部流れを把握することが難しいことや，フアンモータの開発期間は非常に短いことなどから，企業においても詳細な性能特性および内部流れは把握出来ていない．本報では，二重反転形高出力小型冷却ファンにおいて非定常数値流れ解析を実施し，最高効率流量点付近における詳細な性能特性および内部流れについて考察を行う．