酒蔵ツーリズムを活用した地域再生の現状と課題

摘要

近年の地酒ブームにより，地域で製造販売されている独自の酒の需要が高まっている．加えて，以前から地域の核（景観上の構成要素，観光資源）としての酒蔵への期待が高まっており，各地で「酒蔵（酒造場）」の存在意味を問い直すような，多面的な取り組みが求められている．酒蔵を利用した取り組みの主な事例として酒蔵ツーリズムが挙げられる．ツーリズムとは，従来の物見遊山的な観光旅行に対して，これまで観光資源として気が付かれていなかった地域固有の資源を巻き込hだ「周遊・滞在型の観光」のことである．酒蔵ツーリズムは佐賀県鹿島市が平成24 年（2012）に商標登録した言葉で，市内の酒蔵と地域が持つ文化や歴史を国内外へ情報発信をし，蔵元だけではなく市全体への活性化に寄与することを目指している．