山村集落の空き家の実態と住民らによる保存活用: 重要伝統的建造物群保存地区を対象として

摘要

日本では少子高齢化とそれに伴う空き家の増加が問題となっている。特に空き家増加を深刻な問題として抱えているのは、都市部から離れた文化財を所有する農村、漁村である。1975年（昭和50年）の文化財保護法の改正により、こうした農村、漁村の中でも歴史的な建造物、町並みを持つ地区は重要伝統的建造物群保存地区に指定され、城下町・宿場町・門前町・港町・山村集落などの建造物群とその街並みの保存が進められるようになった。しかしこうした地区でも人口の流出に伴う空き家の発生に直面している地区は多く、自治体の対策が追い付いていない場合も少なくない。