中国北方漢族農村住居の空間概念に関する研究その2: 室の呼称とその使われ方からみた住居の平面特性について

摘要

以上の室の呼称とその使われ方の分析により、伝統的三間構成の北方漢族農村住居において、「一明両喑」漢族住居における「明」と「喑」に適する室の呼称とその使われ方は存在しているが、住居平面における割付仕方が一致しない特性を有していることが明らかになった。即ち、当該地域の住居では、接客•祭祀の生活行為が行われる室は中央間ではなく、左右脇間の坑のある「屋」であるに対して、「外」という中央間は、炊事に使われ、接客·祭祀本位の構えを持たないことが明らかである。これは炕と竃を中心とした北方漢族農村住居の気候•風土に適した関係性により、「明」と「喑」の使われ方が脇間に共存していることが捉えられるが、三間構成という平面形式だけ保持されたことは、伝統的漢族住居平面の本質を示していると理解できょう。