運転手注視点予測用動的顕著性マップを用いた対象物体に対する誘目性の定量評価法の検討

摘要

現在，自動車交通事故は人間のミスに起因するものが多く，そのような事故を減らすべく様々な取り組みが行われている．完全自動運転技術が自家用車に搭載されるようになるためには，まだ多くの技術的・法的な困難が存在し，先hじて安全運転を促す運転支援技術が必要とされている．また，そのような運転支援技術の一つにフロントガラスに注意喚起を表示する技術がある．その発展に寄与することを最終的な目標として，著者らのグループでは，これまで車載カメラ動画像から，運転手の注視点を予測するための動的顕著性マップの構築法の研究[1][2]を進めてきた．しかし，実際に前述のような運転支援技術で利用するためには，運転手の注視点を予測するだけでなく，歩行者や対向車などの特定の物体に対して，運転手がどの程度目が行きやすいかを定量評価する手段が必要となる．そこで，本稿では，そのような定量評価を可能とする手法を検討する．具体的には，本定量評価手法では，正規化後の動的顕著性マップの対象物体の映る画像領域内における積分値を算出し，それを定量評価値とする．また，著者らのグループで試作してきた車載カメラ動画像シミュレータ[3]により再現した動画像を用いて，本手法の初期的検証を行う．