渋滞予兆検知技術による渋滞抑制実験とスマホアプリ試用成果

摘要

渋滞は，道路に生ずる交通の一時的な詰まりが増大し，車両の移動速度が低下した物理現象と考えられる．近年、トラフィックカウンタ（以後，トラカン）の導入により，渋滞は交通量や平均速度，車両密度によって定量化することが可能となってきた．これにより，渋滞が発生する様がよりリアルタイムに捉えられ，渋滞は，ある種の相転移現象とみなされる．Kerner によれば，この相転移現象は，自由流，臨界流，および，渋滞流の少なくとも三つから構成される(図1)．トラカンを使った定量化手法の導入により，特に渋滞発生の直前に現れる臨界流の存在やその定量化は，渋滞発生を遅らせる渋滞抑制や，走行ルートの変更により，交通量分散を可能とする渋滞緩和効果を早めるため，有効となりえる．本論文は，臨界付近で増大する車両の加減速変動を捉える数理モデルを構築し，周囲と同調走行させるシステムを，スマートフォンのアプリケーンヨン（以後，スマホアプリ）として組み込む渋滞予兆検知，それをベースとした渋滞抑制の試み，および，当アプリを使用した運転マナー改善に関するジャカルタ警視庁とのフィジビリティ調査について報告する．