IEEE 802.11ac/ax の広帯域性を活用した到来角推定の高精度化に関する初期的検討

摘要

はじめに既に展開されたWi-Fi のアクセスポイントを用いて数cm の精度で位置測位をすることができれば，屋内で数m の精度で行っている現在のユーザ・ナビゲーションをより正確に行ったり，ドローンなどのロボットの自律走行を屋内で行ったりすることができるようになる．屋内向けの位置測位技術としては，文献 ではアンテナの間隔が半波長以下で構築された実験系において，到来角推定を用いて数cm の精度の技術が提案されている．しかしながら，IEEE 802.11ac やax などの市販のWi-Fi アクセスポイントを用いて到来角推定を行う場合では，アクセスポイントの実装によってはアンテナの間隔が半波長を超えていることで到来角の候補が複数になるという問題がある．この問題に対して，本稿では，IEEE 802.11ac/ax の広帯域性に着目して，80 MHz の帯域幅で取得できるCSI の値を網羅的に用いて複数の到来角候補から真の到来角を抽出するアルゴリズムを提案するとともに，本技術の有効性をシミュレーション評価によって明らかにする．