トップハット型拡散スクリーンを用いた高解像度な光線再生型3 次元表示方式

摘要

臨場感のある新しい放送サービスを目指し，自然で見やすい3 次元テレビの研究を進めている．多くの光線を再生し空中に光学像を形成する3 次元映像表示方式（以下，光線再生型3 次元方式と呼ぶ）では，特別なめがねが不要で，観察者の視点に応じた自然な3 次元映像を表示できる．光線再生型3 次元方式の一つに，インテグラルフォトグラフィを基本原理1）とするインテグラル方式がある．この方式は，ディスプレーとレンズアレーを組み合わせて3 次元映像を表示するため，薄型の表示装置が可能である．しかし，3 次元映像の画素数は，レンズアレーを構成する要素レンズ数と等しくなるため，3 次元映像の高解像度化が困難であった．今回，3 次元映像の高解像度化のために，レンズアレーを用いない光線再生型3 次元方式を提案した．提案手法は，多視点映像群を投射表示することで多くの光線を高密度に再生し，トップハット型の拡散特性を持つスクリーンで光線間隔に応じて光を適切に広げることで3 次元映像を表示する．本方式では，多視点映像の画素数が，再生3 次元映像の画素数となるため解像度化が容易である．さらに，スクリーンの拡散特性の最適化により，奥行き再現範囲が広い3 次元映像が表示できる．