パラメトリックスピーカを用いた斜入射吸音率の現場測定

摘要

室を形成する材料の音響特性は、材料自体の特性だけでなく現場での施工状態に大きく左右される。材料の音響特性を現場測定する方法は種々提案されているが、材料の端部回折や周壁からの反射など不要な音波による測定誤差が問題となる。特に斜入射吸音特性の測定は困難であり標準測定法として確立されるに至っていない。本研究では超指向性を有するパラメトリックスピーカの計測への応用を検討する。超音波の非線形性を利用した超指向性により音波を局所的に人射できるため、不要な音波を回避した簡便かつ高精度な測定手法として期待される。しかし、音源信号として用いる高音圧な超音波が受音系統で"擬音"とよばれる局所歪を引き起こし、測定誤差の要因となる。擬音の原因となる超音波を受音点付近で低減するため、フオノニック結晶、音源信号の位相反転駆動の2つの手法を試みた。また、これらの2つの手法を用いて多孔質材料の斜入射吸音特性を現場測定した結果を報告する。