ハイブリッドVRFを用いた潜顕分離空調システムを導入した中規模オフィスビルに関する研究(第4報）冬季における温熱環境の印象とウェルネス評価の試行

摘要

本報では冬季における温熱環境の印象とCASBEE-OHC暫定版（簡易版）を用いた試行的なウェルネス評価の結果について報告した。結果を以下にまとめる。1) KビルとAビル共に「不快である」と回答した者は非常に少なく、「不快の排除」という視点では熱的快適性の高い環境を実現できていた。一方で、快適性の概念を二つに分類した結果、Kビルの空気式放射空調の環境では「気持ちいい」と回答した者が多いが、Aビルの天井カセット式の空間では「不快ではない」と回答する者の割合が多い結果となった。2) 室内環境を「気持ちいい」と感じている者の自己効カ感は高い傾向が見られた。自己効力感の高い執務者は、積極的に環境調整行動を行うため温熱環境に対する不満も少なく、快適性が向上すると思われる。3) KビルにおけるCASBEE-OHC暫定版（簡易版）の得点は従来型の建物であるAビルと比較して高い結果であることから、健康性?快適性?知的生産性の高い環境を実現できていると思われる。4) 自己効力感の高い者はCASBEE-OHC暫定版（簡易版）の得点も高いことから、従来型のシステムでも効果的なリモコンの操作法や開閉しやすい自然換気窓などの工夫により、健康性?快適性?知的生産性は向上すると思われる。