環状オリゴペプチド部位を有するバイオサーファクタントの有機溶媒中における熟可逆ゲルの会合挙動

摘要

サーファクチンナトリウム（SFNa）は最も代表的なリボペプチド型のバイオサーファクタントであ り、納豆菌（Bacillus subtilis）によって生産される。SFNaの主要な分子種は、ヘプタペプチドにβ－ヒドロキシ脂肪酸が結合した構造を持ち、環の外側に12個の炭素鎖を持ち末端が分岐した極めて特異的な化 学構造を持つ両親媒性化合物である。そのためこれらを反映した構造を持つ分子集合体を形成すると 考えられる。特に有機溶媒中では、環状ペプチド部位に結合した疎水基が環状骨格の外側に、極性基 が環の内側に配置し、さらに環状ペプチド間での水素結合が促進されるため、その特徴がより顕著に現 れることが予測できる。そこで本研究ではシクロヘキサン（CHx）溶液中でSFNaが形成する分子集合体 の構造及びその会合挙動について検討することを目的とする。