光誘起超高速磁化ダイナミタスと角運動量流

摘要

固体磁性体、特に磁性多層薄膜における磁化（集団スピン）ダイナミクスの理解及び制御法の確立は、スピンに係る諸現象の理解、スピンを積極的に利用した応用展開に向け重要な課題である。特にスピントロニタス研究領域の主題の一つとして挙げられるように微視的領域、超短時間領域で顕在化する粒子?準粒子間での角運動量変換、散逸機構解明という視点での理解?知見が重要な役割を担うものと考えられる。このような背景の下、従来極短時間作用故に顕在化しなかつた種々の相互作用やエネルギー散逸過程の理解により過渡応答の積極的利用を図り研究を推進してきた。具体的には、金属磁性薄膜を対象に、電子系、スピン系、格子系における素過程の時間スケールの違いが顕在化するフエムト秒から数十ピコ秒の時間領域に注目し、超短時間（40?90fs）光照射に続く、過渡的物質応答の超高時分解計測により、超短時間光物質間相互作用の実験的探求を課題とし、超短パルス光利用超短時間領域分光計測、磁気光学応答評価を特徴とし、スピンに注目した超短時間光物質作用の検討を行った。