階層型ニューラルネットワークを用いた多層構造物の応答?損傷推定

摘要

地震は，いつ，どこで，どのような規模で発生するか詳細に予測することが不可能である。1995 年の兵庫県南部地震以降，2011 年3 月の東北地方太平洋沖地震など大規模地震が国内で相次いでおり，南海トラフ地震などの大規模な被害が想定される地震が近い将来発生することが予測されている。そのような地震が発生した後，被害を受けた構造物の事後の安全性や被災度をより正しく診断するには，目視により直接観察できない構造体の損傷や異常を素早く把握する必要がある。現在，地震発生後に行われている損傷判定制度としては，応急危険度判定，罹災証明，被災度区分判定などがあるが，実施に手間と人員が大きく必要となるため，広範囲にわたる被害が生じた場合に，判定を行うのに多大な時間が必要となる可能性が高く，専門的な知見を有する人員が不足するため，誤った判定が出される危険性も存在する。