醤油製造廃水を対象とした20°Cメタン発酵処理における高濃度メタンガス回収方法の検討

摘要

UASB法(UASB ： Up-flow Anaerobic Sludge Blanket，以下UASB)は，飲料廃水など高濃度有機性廃水処理に適している嫌気性メタン発酵処理の代表的な処理方法であり，最終生成物であるメタンガスをエネルギーとして回収することが可能である.現在まで醤油製造廃水をUASBと好気性処理で曝気が不要であるDHS法(DHS ： Down-flow Hanging Sponge，& F DHS)を組み合わせたシステムを用い，連続処理実験を行ってきた".連続処理実験において最終生成物であるメタンガスが，ガス濃度約80%以上と高濃度で回収ができていた.畜産廃棄物などから得られるメタンガス濃度は50-60%程2)であることから優位性があるといえる.一方で，メタンガスは80-95%の間で増減を繰り返しており，安定した濃度でメタンガスが回収できているとはいえない.安定した高濃度メタンガスの回収が可能であれば，メタンガスの持つエネルギーポテンシャルを十分に発揮でき，エネルギー効率的に優れた運転を行うことが可能であるといえる.タンク内に滞留する時間が長くなるほどメタンガス濃度が上昇していたことから，7日間程度同じ条件で保存していれば，供給開始直後から高濃度でメタンガスを得られると考えた.