弱回転するサッ力一ボールとバレーボールの可視化と空力特性

摘要

近年，球技において，無回転で飛翔するボールが予測不能な軌道で飛翔する現象は，ゲームを盛り上げる要素の一つとして注目されている.中でもサッカーやバレーにおいて，その現象は数多く見られ，また，得点に直接かかわる要因であるため，その現象の解明は非常に重要である.八木氏らの過去の研究では，表面構造の異なる7種類のサッカーボールの，無回転状態での空気力の比較を行っている.その結果，表面の形状が滑面球に近いほど， 臨界領域が高レイノルズ側へ推移する傾向が報告されている洪氏らの発煙物質を用いた可視化実験により，無回転飛翔するボールの後流に不規則な渦が発生していることが報告されている.また，伊藤氏らの研究では，フローターサーブの速度域でMVA200とV5M5000の2種類の公式球を使用した抗カ測定実験と可視化が行われている.その結果，バレーボールの後流に発生する三次元双子渦がブレ球の原因の1つであることが報告されている3).しかし，これらの研究は飛翔中のボールの速度や回転数が不明確であり，ボールに加わる力は，速度域やボールの角度違いで大きく異なる.そこで，本研究は弱回転ボールの軌道が変化したときのボールの状態，及び，弱回転ボールの不規則な軌道の変化とボールの飛翔速度の関係を明らかにすることを目的として，実際に弱回転シユート，及び，フローターサーブを打ち，その様子を，ボールの飛翔方向正面，及び，側面の2力所から撮影，その映像より，軌道が変化した時の速度を測定した.また，ボールの弱回転を考慮してボール正面の角度を変化させて風洞実験を行った.