超小型衛星フォーメーションフライトによる合成開口望遠鏡の基本設計

摘要

地球観測衛星による災害監視は，上空から広域にわたる地上の状況を一度に把握できる貴重な情報源であり，それには空間分解能（解像度）に加えて時間分解能（観測頻度）も重要である．対地静止軌道(GEO) に衛星を配置する"静止リモートセンシング" は，分オーダーの高頻度観測が実現できるが，低軌道(LEO) からの観測に比べ解像度を高めにくいという欠点がある．解像度を上げるためには光学系の口径を大きくする他はないが，打ち上げロケットなどの制約により，GEO に巨大な光学系を配置することは困難であった．巨大な構造物を用いずに解像度を高める手法として，複数の開口を組み合わせることによって仮想的な大口径を得る"合成開口" という技術があり，それをフォーメーションフライト(Formation Flight: FF) によって実現しようとする合成開口望遠鏡"FFSAT / Formation Flying SyntheticAperture Telescope" (図1.1) というシステムを我々が提案している．