高効率?低コスト?軽量薄膜ペロブスカイト太陽電池デバイスの高耐久化開発

摘要

JAXAが推進する宇宙探査イノベーションハブ（探査ハブ）事業の一つとして，我々は「高効率?低コスト?軽量薄膜ペロブスカイト太陽電池の高耐久化開発」を 2017年 10月よりスタートした．探査ハブ事業は，将来宇宙開発に使いたい新しい技術を，民間企業と JAXA の共同で開発し，民間企業で技術を成熟させた後に宇宙開発に応用することが主旨の一つである．筆者らは，宇宙用太陽電池開発の主流である多接合化による高効率化の流れではなく，安価?軽量?フレキシブルの新しい流れに着目，更にペロブスカイト太陽電池の高い光吸収係数から放射線耐性が高い可能性があることに着目し，世界に先駆けてペロブスカイト太陽電池の放射線耐性を評価した．その結果，損傷係数が高く放射線耐性が高いため，将来宇宙での応用が期待されることを見出した．ただし、宇宙応用のためには湿気?熱?光耐久性やモジュール化の技術の成熟が必要であったため，開発の方針を模索していたところ，探査ハブの主旨とペロブスカイト太陽電池の開発が合致すると考え，探査ハブでの開発をスタートさせた．