月近傍有人拠点への貨物輸送を想定した低エネルギー軌道遷移に関する検討

摘要

本稿では，将来の月近傍拠点への低エネルギー軌道遷移に関する検討を行った．目標軌道として，拠点軌道の有力候補である，地球‐月系L2 点周りNRHOを設定し，Parker の手法を適用して軌道探索を行った．さらに本検討では，地球‐NRHO 間のSM の利用を想定し，遠地点高度が314,400 km の軌道を待機軌道(SBO)と定め，SBO－NRHO 間の往復経路の検討も行った．今回の検討では，SBO－NRHO 間の往復飛行期間はおよそ10 ヶ月，一度の往復辺りに要するΔV 量は約330 m/s となった．今後の検討として，地球出発，もしくはSBO の条件を固定した状況での軌道設計，また，途中にmid-course ΔV を入れ，総遷移期間とmid-course ΔV の相関を明らかにし，実ミッションの軌道設定において必要な知見をまとめる．