多目的宇宙環境利用実験衛星TeikyoSat-4 のVHF/UHF 帯用通信コントローラの開発

摘要

2014 年2 月、帝京大学として初の人工衛星である微生物観察衛星TeikyoSat-3 がJAXA 種子島宇宙センターから打ち上げられた。現在は、後継機として多目的宇宙環境利用実験衛星TeikyoSat-4 の開発を行っている。TeikyoSat-3 のミッションは、「生命科学分野」を代表して微小重力と宇宙放射線が粘菌（キイロタマホコリカビ）に与える影響を小型副衛星内で観察するというもので、機体形状が320 [mm]×320[mm]×440 [mm]の直方体形状、質量が約21 [kg]の超小型サイズとなっていた。衛星構体中央部には、1 気圧を保持することが可能なモジュール容器を搭載しており、その内部には粘菌を生育させるための装置や観察用のカメラ装置、環境制御のための装置等を搭載していた。また衛星局と地球局間の双方向通信にはアマチュア無線帯を採用し、ダウンリンクに437[MHz]のUHF（Ultra High Frequency）帯、アップリンクに145 [MHz] のVHF（Very High Frequency）帯を使用した。発信方式としては、CW（Continuous Wave）でモジュール容器内部の気圧?温度、衛星構体各部の温度、バッテリーステータスなどのHK（ハウスキーピング）データを常時ダウンリンクし、AFSK（Audio Frequency Shift Keying）変調方式の1200[bps]のデータ転送レートで粘菌の画像データをダウンリンクする通信システムとした。また地球局からのアップリンクは、同じくAFSK でコマンド送信を行う設計となっていた。H-IIA ロケット23 号機で打ち上げ後TeikyoSat-3 を運用した結果、CW によるHK データの受信には成功したものの地球局からのコマンドが通らず、粘菌観察ミッションを開始できないという事態に陥ってしまい、最終的にはミニマムサクセスレベルの運用結果となった。