ドップラーセンサによる生体計測への適用を意識した簡単な複数信号検出と波形推定

摘要

通信信号や生体信号など，ある一つの基本波形が周期的に繰り返される信号は多い．このような周期的信号の周期や基本波形を推定する問題は古くから検討されている．このうち特に実用上重要かつ困難なのが，複数の信号が混ざった上に雑音が加わった信号から，それぞれの信号のパラメータを推定する問題である．これら複数の信号が周波数軸及び時間軸上で重なっている場合，フィルタリングなどでは信号分離を行うことができない．例えば文献は測定対象信号の中に複数の信号が存在する場合に対応できない．一方，文献6）は複数信号に対応できるものの，それぞれの基本波形の推定はできない．また，文献7）はドップラーセンサを用いた非接触心拍·呼吸計測に焦点を当て，受信機にアレーアンテナを用いることで信号の到来方向によって信号を分離し，複数の人の同時計測を実現している．しかしこの方法では多数のアンテナを必要とするとともに，受信アンテナに対して複数の人がほぼ直線上に並hだ場合は分離が不可能となる．