鈍体後流構造へのジェットによる変調と流体抗力の関係

摘要

流体力学的に鈍い形状である円柱，角柱のまわりの流 れは，流体力学における基礎的な流れであるとともに， 建築物や自動車?鉄道などの工学的な応用の場において もしばしば見られる．このような鈍体に生じる流体抵抗 は，その大部分を物体後部に生じる圧力抵抗が担うとさ れており，抵抗低減においては前縁部の流れの剥離の抑 制とともに，後縁部における流れの制御が有効であるこ とが示唆されている．具体的には，後縁部で生じる流れ の剥離や渦の連続的な放出に対して，後縁部から流れ方 向に噴流を与えて背圧を変化させる方法が有効であると 考えられる．例えば，吉田ら(1) の吹き出しを設けた円 柱周りの流れ測定においては，流れに沿う方向に噴流を 与えることで，カルマン渦の巻き上がりが弱まって渦生 成領域が狭まり，結果として渦強度が小さくなることが 確認されている．また，平板を用いた高見ら(2) の例で は，噴流と伴流の影響がつりあった運動量欠損のない流 れ(Momentumless wake) である点に着目し，乱流制御の 観点からさまざまな伴流／噴流乱流特性に関する知見が 得られたことが示されている．