折れ曲がり翼における迎角の安定性に関する数値解析

摘要

折れ曲がり翼とは，トンボの翅の断面のように山と谷 の形状を繰り返す翼構造物を指し，低レイノルズ数域に おいて優れた空力特性を発揮するとされている．折れ曲 がり翼を用いた固定翼機は，羽ばたき翼機よりも機構が簡 潔で制御が容易であることから小型航空機(Micro Aerial Vehicle) の開発において注目されている形式のひとつで ある．小幡らは折れ曲がり翼型を用いて翼断面周りの2 次元流れ場の可視化を行なった(1)．また，平井は数値計 算によって折れ曲がり翼周りの2 次元および3 次元流れ 場の解析を行い空力特性を定量的に評価し(2)，特に低い 迎角で滑空する場合には，一般的な航空機のように厚み が大きく滑らかな翼形状に比べて，折れ曲がり翼形状の 方が高い揚抗比を示すことを明らかにした.