AUSMV 型式解法の改良と数値不安定の回避について

摘要

本稿で述べた手法(AVM+SF2)について以下に簡潔にまとめる．1. AVMはAUSMV系とFVS-Wを組み合わせた手法である．2. Shock-fix法の考え方に倣いShock-fix2(SF2)を構成し，SF2にはFVS-Wを併用させることにより衝撃波の数値的不安定を非構造格子上でも抑制できることを確認した．3. AVM+SF2+MUSCL-TVDの組み合わせは，衝撃波に沿う方向に格子解像度が高く尚且つ格子アスペクト比が大きな格子上においてもカーバンクルが生じにくい．4. HLL系スキームを使用すると斜め衝撃波背後の格子の配置に呼応して数値振動が発生することが知られているが，AVM+SF2+MUSCL-TVD使用時には殆ど見られなかった．5. 1次元定常衝撃波が4点で捕獲され，定常流れではエンタルピーの保存性が良いというFVS-Wの特徴を有する．6. 1次元の移動接触不連続面の捕獲性能が近似リーマン解法の一つであるRoeスキームと同等である．7. 上記事項に関連して，剪断層を横断する方向に数値的な質量流束が発生しにくいため境界層の予測精度が良い．8. 衝撃波を含む領域に3角形要素の非構造格子を，壁面近傍には4角形を配する複合格子を用いる場合でも，澱み点近傍で異常な数値解は発生せず，空力加熱の評価が可能であることが確認された．