ボイスコイルモータの力制御とシャント制振を同時に実現する２自由度制御器設計

摘要

ボイスコイルモータ(VCM)は電流を力に変換するアクチュエータの性質と，速度を起電力に変換するセンサとしての性質を持っている．一般にVCM を用いて力制御を行う場合，指令電流と計測電流の誤差をPI コントローラで制御することが多い．コントローラのゲインを大きくすることで指令値通りのアクチュエーションを行うことが可能となる．しかし，この方法では制御対象に外乱が入力された場合の振動を抑えることができない，という問題がある．一方，VCM を用いた受動制振手法の一つに電磁シャント制振がある．この手法は，制御対象にVCM と，その端子間に外部電気回路(シャント回路)を取り付けることだけで制振効果を得る手法である．このシャント回路に電気共振回路を導入することで，動吸振器と同じような制振効果を得ることができる．つまりシャント回路は外乱抑制のコントローラに相当する．