オーステナイト系ステンレス鋼溶接金属部へのX線応力測定法の適用性検討

摘要

X線応力測定法は非破壊測定技術の中でも，割れやき裂の発生起点となりやすい材料表面の応力測定が可能であり既に広く利用されている.しかし，オーステナイト系ステンレス鋼溶接金属部に対してX緑回折法を適用した場合，粗大粒の影響で回折環を得るのに十分な結晶粒数が存在せず測定が困難な場合がある.これまで粗大粒がⅩ線応力測定法に及ぼす影響に関して様々な取り組みが行われている1）が，本研究では溶接金属部の残留応力評価に対するX線応力測定法の適用性について結晶粒サイズに影響を及ぼす入熱条件の影響に着目して検討する.具体的には，複数の溶接入熱条件で異なる結晶粒径を持つ溶接試験片を作成し，X線応力測定における測定条件の影響を調査するとともに熱弾塑性解析との比較を通して，粗大粒を有する溶接金属部へのX線応力測定法の適用性の入熱条件依存性を検討する．