高強度鋼板のスポット溶接部組織の特徴第三報

摘要

自動車車体において優れた燃費性能を実現するためには軽さが必要であり、一方、高い衝突安全性能を確保するためにはその重量増加を招く。これらは相反する要求であるが、これらの要求を満たすために高強度鋼板の使用が拡大している。自動車の組立において、種々の溶接·接合方法が使用されるが、スポット溶接の比率が高い。このスポット溶接において、高強度鋼板における継手強度の確保が困難となってきている。その原因として、鋼板強度そのものによる溶接部↑の応力集中や、炭素量をはじめその他合金元素の添加量が高いということなどが挙げられる。高強度鋼板の適用拡大を進めるには、スポット溶接継手強度向上が必須であり、溶接条件の改善によって継手強度確保をする種々の手法が提案されている1－3）。これらの手法に対して、継手強度向上効果の検証や、その向上メカニズムについては検討が進hでいる。本報では、これらの溶接条件によりナゲット内の組織がどのように変化しているかについて検討を行った。