分子選択性を持つグラフェン共振センサによる高感度質量計測

摘要

基板から自立させた架橋グラフェンを使ったMEMS共振型センサは、薄くて軽いグラフェンの特徴から極めて高い感度のセンサ実現が期待されている。グラフェン共振型センサの既報論文として、ペンタセンを蒸着して高感度に質量測定を行った報告があるが、物理吸着による質量変化を測定していることから分子選択性をもつセンサとして機能しておらず、また蒸着されたペンタセンの膜厚はグラフェンの膜厚より数倍厚い事から、本質的なグラフェン共振器の質量感度を得た報告ではない。こうした課題のため本研究室ではこれまでにキャビティを封止した架橋グラフェン構造を作製し(Fig.1)、架橋グラフェン上に分子を認識するレセプター修飾処理を行う事で、選択的分子検出を実現している。本発表では架橋グラフェン上にレセプターの化学修飾を行い、抗原抗体反応によって分子吸着をさせた際の共振周波数シフトから、選択的に吸着した分子の質量測定を行った結果を報告する。