ウリカーゼ/カーボンナノチューブ/カルボシキメチルセルロース電極を用いる血中および尿中の尿酸の検出

摘要

血中、尿中の尿酸値は生体内の窒素代謝指標であり、健康診断の検査項目でもある。本研究では、ウリカーゼ/カーボンナノチューブ(CNT)/カルボシキメチルセルロース(CMC)電極（図1）を用いて血中および尿中の尿酸の検出・定量を行った。CNT と酵素ウリカーゼを組み合わせるためには、疎水的なCNT 表面を親水性化し、CNT の凝集状態から孤立させ、薄膜形成させることである。そのための有効な方法として、分散剤を利用した。分散剤は、アニオン高分子であるCMCとアニオン低分子であるコール酸ナトリウム(SC)を試した。カーボンナノチューブは、単層と多層を試した。その結果、単層多層CNT に関係なく分散剤にCMC を使用した酵素電極が、電流値が高く、検出電位もより小さいことがわかった。検出原理は、酵素反応によって尿酸が酸化されてアラントインになり、過酸化水素が発生する。この過酸化水素がCNT 電極上で酸化されて、尿酸値に比例した電流値の増加が観測される。サイクリックボルタンメトリー（図2）でも定電位時間電流検出でも尿酸値と電流値が比例した。作製した尿酸センサの特性は、線形領域0.02-2.7mM、感度233 μA mM~(-1) cm~(-2)、検出電位+0.35V、検出限界2.8 μM であった。血清中と尿中の尿酸値をウリカーゼ/CNT/CMC 電極で得た値と、酵素発色検出キット（ウリカラー®）で得た値とは、よく一致した。