両面成形型自律遠心マイクロ分注機構による親水液体の分注

摘要

遠心マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体システムにおいて最も簡便な送液手法の1つであ る。特に化学分析プロセスの自動化においては、有望な手法である。また、試薬等を1つのチャ ンバから複数のチャンバへ自動的に分配する分注機構は、それを化学分析デバイスに実装するこ とで、使用者の負担軽減といった利点がある。これまで本研究室では、毛管力型自律遠心マイク ロ分注機構を開発し、定常回転下で高精度に分注可能であることを実証した。しかしこの毛管力 型分注機構は、毛管力の作用を利用しており、作動流体は、流路表面に対し疎水性でなければな らない。そこで流路表面の濡れ性に依存しない両面成形型分注機構を開発し、PDMS製のデバイ スと水を用いた評価試験において、高い分注精度を有していることを確認した[2]。本発表では、両 面成形型分注機構が、流路表面に対し親水性を示す液体を用いた場合においても動作可能である ことを実証するため、エタノール水溶液の分注を実行した結果を報告する。