Well 型Glass GEM を用いた重粒子線ビームの動的イメージング

摘要

我々は、新しい気体を用いた検出器としてガラス製のGEM(Gas Electron Multiplier)：Glass GEM の開発に取り組hできた。Glass GEM は従来のGEM よりも高いゲインと高計数率特性が向上しており、Ar/CF_4 といった蛍光ガスと組み合わせることで高分解能のX 線イメージングが可能であることを実証してきた。本研究では重粒子線のような高LET 放射線をイメージング・計測するためにGlass GEM とアノードを密着させ、新しくWell 型にした検出器を開発した（図１）。封入するガスにはシンチレーションガス（Ar/CF_4）を用い、さらに暗箱・SUS 製のミラー・冷却CCD カメラと組み合わせることでチェレンコフ光に起因するノイズとなるフォトンが測定に混入することを防いだ。本研究で開発した検出器を用いて、放射線医学総合研究所のHIMAC にてスポットスキャニングビームの動的イメージングを行った。本検出器は100mm□の有感面積を持ち、重粒子線の動的イメージングとブラッグピークの測定を行い、高LET 放射線でもLET 放射線依存性が極めて低いことを確認した。また、実治療と同強度のスポットスキャニングビームを照射した実験においては、本検出器を用いて動的に線量分布を取得することに成功した（図２）。講演では、これでまでの検出器開発の概要と、重粒子線の測定結果について述べる。