FePtコート探針の強磁性共鳴周波数についての実験的・理論的考察

摘要

近年我々は，強磁性探針の強磁性共鳴（Ferromagnetic resonance: FMR）を用いて，探針の磁化を変調することにより，表面凹凸と磁気コントラストとを分離する顕微鏡手法を提案した．論文中では，磁性探針として高い保磁力を持つ材料であるFePtを探針にコートしたものを用いている．論文中の実験では，FePtコートカンチレバーの強磁性共鳴周波数はおよそ，2.7GHz付近であると報告されている．しかし，力検出に基づくFMR検出では，マイクロ波アンテナからの電場やカンチレバーの熱的効果などによる，強磁性共鳴力由来でない信号が現れることが知られている．論文では，FMRによる信号とそれらの信号との区別については十分に議論されていないため，FMR周波数の妥当性についてさらに詳細に調べる必要がある．