AHP を用いた評価手法の考察と鉄道信号への適用

摘要

鉄道信号では、安全性や信頼性に関する指標は各技術者の主観による部分が含まれることが多い。そのような指標を含む意思決定における問題で、主観的指標と機械的指標の両面からを含めた問題解決手法として、AHP が存在する。AHP の主な工程として、「階層化」、「一対比較」、「ウェイト計算（重み付け）」、「評価値計算」が挙げられる。その中で、今回AHP のウェイト計算に着目した。AHP のウェイト計算手法として、一般的に固有ベクトル法や幾何平均法が挙げられる。それらの手法の中で、どの手法を用いるのが良いかという疑問は議論としてしばしば挙がる。本稿では、鉄道信号システムのような、評価項目や評価過程が肥大化する場合の評価における、各ウェイト計算手法の優位性を確かめる。その中で、複数ある手法の内、対数最小二乗法に基づく手法である幾何平均法、調和平均法について、AHP の要素数・層数との相関性を比較する。その結果から、一般的な多項目・多層な意思決定問題に対して、各手法の有意点について考察を述べる。