雨水の移動の可視化技術を用いた都市内水氾濫の浸水特性に関する検討

摘要

近年，台風の大雨や局地的豪雨により，雨水排水不良に伴う内水氾濫災害が多発している．愛知県春日井市では平成23 年の台風15 号の影響を受けて9 月19 日から9 月21 日に断続的な大雨となり，床上浸水217 戸，床下浸水183 戸の被害を受けた．本研究は，この豪雨災害を対象に，春日井市の内水氾濫解析モデルを構築し，その精度検証を行った．つぎに，雨水の移動の可視化技術を活用し，内水氾濫に関する浸水特性を考察した．具体的には，多くの浸水が見られる地蔵川流域を右岸流域と左岸流域に区分し，雨水の移動を検討した．また，雨水が集積した地域を対象に，雨水の移動の可視化技術を応用して，その移動の逆解析を行った．本研究により，雨水の移動の可視化技術を応用することで浸水特性を明らかにし，浸水のメカニズムが深く考察できることを示した．