東京湾における静止海色衛星を用いた有色溶存有機物推定とその応用

摘要

沿岸域における有色溶存有機物(CDOM)は，陸で生産され河川水とともに湾内に流入する河川起源と，湾内で有機物分解や植物プランクトンの分解過程で生成される底層起源に分類される.河川起源のCDOMは，難分解性であるため，海に流入した際に塩分と相関を持つことが知られており，Keithら（2016)は.ノース川河口おいて海色リモートセンシングによるCDOM推定から塩分を推定している.しかし，東京湾のような富栄養化した内湾での検討例はほとhどない.一方，本研究の東京湾現地観測では，底層起源のCDOMに着目することによって，湧昇域推定の可能性が示唆された.そこで，本研究では東京湾を対象とし，現地観測結果及び光学モデルの計算結果から，海色リモートセンシングによるCDOM推定を利用した塩分分布と湧昇域推定手法の開発を試みた.