一般化最小分散評価に基づく定値制御データからのデータ駆動型PIDゲイン調整: 液面制御モデルにおける外乱抑制に関する検討

摘要

一般化最小分散評価に基づく定値制御データからのデータ駆動型PIDゲイン調整法は，PID制御で安定化された閉ループ系から取得された定値制御データを用いて制御対象の数理モデルの同定を介さずPIDゲインの更新を行うことができる.そのため，本手法を用いるとPIDゲイン調整のために新たにテスト信号を付加する必要がない.このことは一つの工場あたり数百〜数千あるPID制御ループの効率的な再調整に役立つ.著者らの最近の研究では，このようなデータ駆動型PIDゲイン調整をCARIMA(Controlled Auto-Regressive Integrated Moving Average)モデルでモデル化される制御対象に対して導出し，その有効性を数値シミュレーションにより確認した.しかし，シミュレーションによる検討は，CARIMAモデルで記述される離散時間系に対するものに限られており，実プラントを想定した非線形特性を有した物理モデルや矩形波や正弦波のような確定的な外乱が含まれた場合に対する検討は行われていなかった.