指向性反射を考慮した放射伝熱シミュレーションによる熱線再帰性反射フィルムの評価(その1)3次元放射収支測定による熱線再帰性反射フィルムの効果と人体への影響の評価

摘要

1.はじめに近年、省エネ対策として主に事務所建物においてLow-eガラス、遮熱フィ/レムなどの採用による開口部の遮熱化が進hでいる。しかしこれらの対策の多くは、開口部における近赤外域放射の反射を増加させ、屋外街路空間の温熱環境を悪化させるおそれがある。この対策として、熱線再帰性反射フィルムが注目されている。このフィルムは入射する近赤外線を再帰性反射するため、建物内の冷房負荷を削減すると同時に、街路空間に入射する近赤外線を削減し、ヒートアイランド緩和策としての効果も期待される。これに関しては、既に井上らにより室内の熱負荷削減効果、屋外街路空間へ入射する近赤外線の抑制効果に関する詳細な測定結果が報告されている。しかしヒートアイランド緩和策の効果を評価するには、1つの建物だけでなく街区、都市スケール全体で熱線再帰性反射フィルムを採用した場合の効果を把握する必要があり、この評価は測定だけでは困難である。