「おもしろ不動産」の活用主体と空間の関係:埼玉県北本市にみるアート活動の拠点としての空き店舗・空き家の可能性 1

摘要

近年、郊外住宅地における空き店舗・空き家の増加が問題となっている。都市部への人口集中と少子高齢化の影響で、かつては活気にあふれた郊外住宅地は、人を呼び込み活気を取り戻すために様々な空き家対策を展開している。その取り組みの１つとして、空き店舗・空き家をアート活動の拠点として活用する事例が見られる。空き店舗・空き家をアートによって活用することは、建物にこれまでになかった付加価値を発生させ、地域コミュニティを醸成する場として機能するという利点がある。そうした事例の多くは、歴史的価値のある古民家や景観豊かな観光地の空き家で見られるが、一方でごく普通の住宅や町工場といった建物が活用されている事例も散見される。歴史的、地域的価値をもたない空き店舗・空き家は、地域コミュニティを醸成する場としてどのような付加価値を得ているのか。