既存建物の省エネルギー改修に関する研究その 10 省エネ改修の傾向と意識

摘要

前報では平成22年度及び23年度事業とアンケート調査の概要についてまとめた。本報ではアンケート調査の結果に基づき省エネ改修の傾向と意識について報告する。躯体改修と設備改修に分けて改修工事の内容を分析すると、躯体改修は開口部と最上階天井裏に集中していることが分かる（図1a）。更に、躯体改修の工事内容を詳細にみると、「最上階天井裏」の場合は「グラスウールの敷き込み工事」が殆どであり、開口部改修の場合は「日射調整フィルム張り」が５割を超えている。これは、後述するように、躯体改修が工事の規模が大きく、場合によっては足場の設置など仮設工事が必要となり、工事費が高額になるため、可能な限り簡単な改修方法を求めているからである。また、「ガラスのみの交換」が多いのも同様の理由であるが、その中でも、「内窓設置」や「かぶせ工法による窓交換」のような実施事例も見られる。（図2）