2UテザードCubeSatの安定的なテザー伸展について

摘要

テザーは軽量，優れた収納性などの利点を有する機械要素であり，これを利用したテザーシステムは大規模システムの構築が容易なことから，人工衛星で可能なミッション範囲の拡大を目指す宇宙分野で注目されている．このようなシステムの一例として，部分的宇宙エレベータ(partial space elevator)と呼ばれる，長大なテザー上を移動するクライマにより軌道間輸送を行う宇宙輸送インフラが挙げられる．これを用いることで，低軌道から静止軌道への輸送において，打上げロケットを用いた方法と比較してエネルギ効率の良い輸送が行えると考えられることから，宇宙資源探査の基盤技術になり得る．近年，この宇宙エレベータシステムの技術実証を，CubeSatを利用して行う提案がなされてきたが，計画した長さのテザーを展開できなかった例もあり，安定的なテザー伸展技術の確立は不可欠である．また，宇宙空間でのテザー展開及びクライマ移動がシステム全体に与える影響については未だ明確でない点が多い．そこで本研究では，同システムの技術実証を目的とする衛星の開発を念頭に，その地上実験として，開発した空気浮上式重力補償装置により二次元平面上においてテザー伸展実験を行い，安定的なテザー伸展の方法を検討した．