1964 年東京五輪開催に伴う霞ケ丘アパートへの建て替えと住み替えの経緯

摘要

本研究では、①霞ケ丘アパートへの建て替え前に所在した都営霞岳住宅には、東京都が所有・管理する新築の都営住宅と戦前の兵舎等を改修した転用住宅が並存していたこと、②霞ケ丘アパートの建て替えは、国立競技場からの美観だけでなく、簡易住宅や転用住宅の老朽化対策と不燃化対策として行われ、その建て替えの順番は敷地内に仮設住宅を建てながら建設工事を進めた産物であったこと、③霞ケ丘地区の居住者は、地区外に転出することなく霞ケ丘アパートに入居でき、転用住宅の居住者が改良住宅に居住する等の規則なく、住民の希望に沿って移転先が決定したこと等を明らかにした。