高齢者施設における疑似体験型ワークショップの効果に関する研究

摘要

近年の高齢者の増加により、要介護者を受け入れる高齢者施設の需要が高まっている。特別養護老人ホーム(以下、特養と略す)には「看取りまでの一貫したケア」が求められており、公的施設の中核を担っている。特養の課題の一つに人手不足がある。それにより職場での「介護体制」を整えられず、利用者に対して満足するケアを提供できない、または、過度な労働負荷により離職を招くという悪循環に陥っている。以上の問題を解消するためにも、「介護体制」の早急な確立や、それに伴う空間の整備が必要であるが、各高齢者施設において整備が停滞状況にある。人手不足という現状において、「介護体制」を改善するためには、日々の介護動作を俯瞰的に見て無駄な要素を省くなど、協働できる体制を整える必要がある。そこで本研究では、図面や模型を用いたワークショップ（以下、疑似体験型W.S.と略す）が「介護体制」と「空間構成」の改善に与える効果について検証することを目的とする。