摂丹型民家における破風の類型に関する研究:記録された破風にみる近世村落内の階層表現について・摂丹型民家における破風考（４）

摘要

小稿の検討からは、摂丹型民家の破風について、１）摂丹型民家の破風の用語を整理・定義し、類型の設定を試みたところ、破風口の本来の煙出し機能が少なく閉塞性の高い類型が村落のなかで上位の階層を表象する傾向があり、さらに懸魚、家紋の装飾を付加する事例は上位にあることが明らかとなった。２）近世の文献・絵画資料から検討では、破風板（縁）の有無が破風と認めるか否かの要件であった。縁の無い例についても、広義の「破風」である「破風口」を装飾するが、破風板の有無によって「破風」と「妻飾り」に区別されていたことが窺える。今後、事例を重ねて検討して行きたい。